不審請求の申請に関するベストプラクティス

不審請求の申請に対応するうえで特に説得力の高い反証資料を準備する方法をご紹介します。

支払いに関して銀行に不審請求の申請を行う際、口座所有者は主張を裏付ける資料を提出する必要があります。多くの場合、銀行は、口座所有者が承認していない、事実と異なっている、または破損していると思われるものに対して支払わなくて済むように口座所有者を保護することを目指します。

売り手である事業者には、口座所有者の主張に反論し、裏付けとなる反証資料を提出する権利があります。ご利用のプラットフォームは Stripe と提携しており、銀行 / カード発行会社の決定の最終的な結果に影響を及ぼすことはありませんが、その目的は事業者の不審請求の申請に対する抗弁を支援することにあります。ここでは、不審請求の申請を解決する経験に基づいたベストプラクティスをいくつかご紹介します。

不審請求の申請に対する主張が認められる可能性

不審請求の申請を覆せる見込みは、以下のようないくつかの要素によって大きく変わります。

反証資料を不審請求が申請された理由との関連性が高く、簡潔なものにする

カード発行会社は、毎日数千件の不審請求の申請に対する回答を審査します。長い説明を書いても、回答の説得力が高まるわけではありません。また、利用者が商品を受け取っていないことを理由に不審請求の申請をしている場合、返金ポリシーが明示されていることを示す反証資料を提出しても関連性がありません。中立的かつプロフェッショナルな態度でその主張が不合理である理由と、反証資料によってどのようにそれが立証されるかを明確かつ簡潔に述べましょう。たとえば、以下のように規定されています。

Jenny Rosen 様は、[日付] に Visa のクレジットカードを使用して弊社の [商品] を購入されました。提供した追跡ファイルに示されているように、弊社は [日付] に、Rosen 様から提供された住所に商品を発送し、商品は [日付] に到着しました。このため、商品が届かなかったという主張は真実ではありません。

反証資料を収集する際に、その不審請求の申請について調査できます。たとえば、Google マップやストリートビューで配送先を確認したり、Facebook や LinkedIn のようなソーシャルメディアで利用者が正当なカード保有者であることを確認したりできます。

多くの事業者は、利用者とのメールのやり取りやテキストも反証資料に含めていますが、これらのやり取りは身元を証明するものではないことに注意してください。それらを提出する場合は、関連性の高い情報のみが含まれるようにしてください (たとえば、長いメールのスレッドを含める場合には、以前のメールの引用部分を削除します)。

反証資料は、事実に基づく、プロフェッショナルで簡潔なものにしてください。反証資料をほとんど提出しないのも問題ですが、不要な情報を含む過剰な情報をカード発行会社に提出することも悪影響をもたらす可能性があります。

利用者による承認の証拠を含める

不正利用に関する不審請求の申請は、不審請求の申請全体の過半数を占めます。重要なのは、当該のケースにおいて正当なカード保有者が取引を認識し、承認したことを証明することです。これを証明する以下のようなデータはすべて、説得力のある回答に含まれる標準的な情報です。

Stripe では常に、購入時の IP アドレス (構築済みの Stripe システムから取得できる場合) に加えて、AVS またはセキュリティコードの確認結果も含めています。ただし、その他の承認の証拠 (3DS 認証など) がある場合は、必ずそれも提出してください。

サービスの提供や商品の配達の証拠を含める

不正利用に関する申請だけでなく、商品の未着やサービスの未提供、欠陥や不満、説明との相違などの理由でカード保有者から不審請求が申請されることもあります。商品に欠陥がなく、説明と一致しており、不審請求の申請日以前に発送して到着している場合には、サービスの提供や配達の証拠を提出します。

商品購入の場合には、市区町村と郵便番号の証明だけでなく、完全な配達先住所を含む発送と配達の証拠を提出します。

利用者が自身のものとは異なる「配送先」の氏名を指定した場合 (贈答品などの場合) は、配送先が異なっている理由が説明された文書が必要です。商品を購入して、カードの確認済みの請求先住所とは異なる住所に配送することはよくありますが、これによって不審請求の申請リスクが高まることがあります。

デジタル商品を提供している場合は、利用者がコンテンツをダウンロードしたり、ソフトウェアやサービスを使用したりしたことを証明する、IP アドレスやシステムログなどの反証資料を提出します。

利用規約と返金ポリシーのコピーを含める

不審請求の申請に関しては、細目部分が重要です。返品や返金に関しては、利用者が決済時に利用規約に同意し、それを理解したこと、またはポリシーに従わなかったことを示す証拠を提出することが非常に重要です。決済時に利用規約やその他のポリシーをどのように提示したかがはっきりと分かるスクリーンショットは、反証資料に加える重要な資料であり、文章のコピーを含めるだけでは不十分です。

同じタイプの反証資料のファイルをまとめる

アップロードするファイルごとに反証資料のタイプを指定する必要があります。また、個々のタイプで提出できる反証資料は 1 つのみです。たとえば、利用者とのやり取りを表すデータ (メールのメッセージ、テキストのスクリーンショット、電話のトランスクリプトなど) が複数ある場合、顧客とのコミュニケーションとして識別できるのは 1 ファイルのみであるため、1 つのファイルにまとめてください。

アップロードする書類と画像の体裁を整える

確認用に、大きく、はっきりとした画像を含めます。ファイルのアップロード時には、許容されるファイルタイプやファイルサイズの合計に制限があります。

反証資料としてドキュメントや画像を提出する際には、反証資料を判読できるようにするため、以下の推奨事項に従ってください。

スクリーンショットをアップロードする際には、以下を行ってください。

判読できないテキストやデータが含まれている場合、カード発行会社は回答が不完全であると見なして内容を確認しません。

不審請求の申請を承諾する

不審請求の申請を承諾した場合、示された理由による不審請求の申請が正当であるとカード保有者に同意したことになります。不審請求の申請を承諾することは、不正行為を認めることとはみなされません。場合によっては、これは最も適切な対応となります。利用者は不審請求の申請プロセスを通じて、すでに返金を受け取っています。返金に同意する場合は、不審請求の申請を承諾することが最良です。不審請求の申請に対応したり反証資料を提出したりする予定がない場合には、これが最良の方法です。不審請求の申請を承諾することでそれ以上ビジネスに悪影響がもたらされることはありませんが、これは、効果的な返金と返品のポリシーの代替手段として妥当ではありません。不審請求の申請アクティビティーは、主張が認められるか否かに関係なく、受け取った不審請求の請求に基づいて計算されるため、不審請求の申請を防止することが非常に重要です。

注:不審請求の申請で発生する手数料は、不審請求の申請を承諾した場合でも適用されます。

誤解

誤解によって不審請求の申請が行われた場合、利用者からカード発行会社に、取引に関する不審請求の申請を取り下げることを通知できます。その場合でも、反証資料を提出することは、支払いが正当であったことを示すとともに、不審請求の申請を承諾しないことをカード発行会社に確実に認識してもらううえで重要です。

不審請求が申請された資金を利用者が保持することに同意する場合は、カード保有者に通常の返金を行って不審請求の申請を取り下げるよう求めるのではなく、不審請求の申請を承諾します。カードネットワークは、加盟店の主張を認めた回数や認めなかった回数ではなく、不審請求の申請が発生した回数だけを考慮します。取り下げられた不審請求の申請もカウントされますのでご注意ください。

一部返金済みの支払いに対する不審請求の申請

一般的ではありませんが、一部返金 (同意済みの低い金額の返金など) がすでに行われている場合でも、支払いの全額返金を求めて利用者が不審請求を申請することがあります。このような場合には、すでに処理された一部返金および不審請求を申請された全額に対する責任を負うことになるため、納得がいかないことがありますが、カード発行会社はこうした状況の是正に前向きに取り組んでいます。

不審請求の申請の未返金部分を承諾する予定であっても、回答で一部返金の証拠を提供することが重要です。これには、金額や返金日、ご利用のアカウントからの返金情報のスクリーンショットなどを含めます (これは、「クレジット発行済み」の回答と呼ばれます)。

ほとんどの場合、カード発行会社は元の不審請求の申請をキャンセルし、修正した金額で別の不審請求の申請を作成します。Stripe では、既存の不審請求の申請を使用して全体的な結果を追跡します。不審請求の申請が完全に事業者に有利な形で解決された場合は、全額が事業者に戻されます。そうでない場合には、一部の金額のみが返金されます。